翻訳出版オンラインワークショップ 「The Wooden Nickel」
監訳者 井尻旬子先生からのメッセージ
『The Wooden Nickel』(アリーシャ・ペイジ著)
 2011年にアメリカで刊行されたアリーシャ・ペイジの『The Wooden Nickel』という作品です。
 大恐慌後の人々の暮らしが貧しかった時代、パンの配給を受ける列に並んだ幼いヒロインが、浮浪労働者のヒーローから施しを受けるところから物語は始まります。ヒロインがもらったものは、その町では使用できない木製の5セント玉。この一見価値のない5セント玉がその後の主人公たちの人生を大きく変え、愛と希望の象徴として、生涯で何よりも価値のある宝物になっていきます。本書は、ときに笑い、ときに涙しながら二人の波瀾万丈の恋物語を楽しめると同時に、どんなときも希望を捨てない強い信念を持つことの大切さを教えてくれます。

 ロマンス小説は単に恋愛を題材に扱うジャンルというイメージをお持ちの方もいらっしゃると思いますが、実は「読みやすくて自然な日本語」を学ぶための絶好の教材になります。翻訳小説が敬遠される理由のひとつに「日本語としての違和感」が挙げられます。普段私たちが使わないような言い回しが多用されていると思われがちだからです。

 また、ロマンス小説の醍醐味はハッピーエンドにあり、訳し終わったあとは幸せな気分になれます。同じような気分を読者の方にも味わっていただくことを目標に作品を仕上げていきたいと思っています。

 みなさん、ご一緒に "翻訳臭"のしない物語を作り上げませんか。そして、翻訳小説はあまり読まないという読者の方にも「読んでいる間はいっとき現実を離れ、読み終わったあとは幸せな気分になれた」と言っていただけるように頑張りましょう。



監訳:井尻旬子(翻訳家)