新型コロナ感染を超えて − ’新しい時代を創る’ パラダイム変換へ

今、世界で死者、感染者が爆発的に増えている武漢発ウイルス現象は、我々、人類に何を学ばせようとしているのでしょうか。

これまでの常識、企業の進化過程―4つのステージをご存じでしょうか。


1. Domestic Stage

国内で作り、国内で売る、国内マーケットからスタート

2. International Stage

海外で作り、海外で売る、すなわち、本社にすべての機能が集約(国際部)し、海外子会社が製造、販売等の一部の機能を担当する

3. Multinational Stage

海外への権限委譲が進み、本社には共通機能のみが集約され、自律的子会社が設立される

4. Globally Integrated Stage

「地球でひとつの会社」、世界中で一番ふさわしい場所にそれぞれの機能を分散させ、最適地で経営資源を調達する段階となります。このステージでは「国境の垣根をできる限り引き下げ、ヒト、モノ、カネ、サービスの流れを活発化させるべき」と考えます。国家の役割を最小限にし、各国の文化や制度の相違をなくし、画一的なルールの下、世界を統合していこうとするものです。
 

この発展段階の4つがこれまで当然の進化過程のように思われてきましたが、実はここに今、時代の反転、ゆれ戻しが起こりつつあります。そのきっかけは移民問題等がありましたが、その極め付きは今回のコロナウイルスによる、都市封鎖、国家封鎖です。

すなわち、第4のGlobally Integrated Stage いわゆる、人、もの、金の自由な移動、グローバル化のステージからの反転、
Multinational Stageへ
International Stageへ
更には、Domestic Stage 内需へ

反転ステージでは、各国の文化や制度の相違を安易になくそうとはしません。文化や暮らし、健康を守るために国家の役割も重視します。すなわち、国境を明確に設け、人の自由な移動を制限することになります。

英語のみで世界を席巻しようとするグローバリズムの世界とは無縁です。

ブレグジットを主導した英国の市民団体が望んでいたのは、自分たちのことは自分たちで決めたいということでした。つまり、国民主権(自己決定権)の復活、英国という政治的まとまりの復権ということでした。

彼らは、他国と付き合うことは別に否定していません。ただ、交流(貿易、外国人労働者や移民の受け入れなど)の条件を、EUではなく、自分たち自身で決めたいということでした。

世界は
GlobalismからNeo-nationalism (Localism)へ

国境を無くし、人の交流を自由化し、市場を開放する方向から、難民の無制限な移動の制限をし、国家を取り戻す方向へ

ElitismからPopulismへ 国際金融資本家に代表されるエリート主導から大衆主導の時代へ展開しています。

今まさに、新型コロナ感染により、国境が明確になり、大きな潮流は、ローカル、それもグローカル、開かれたローカリズムの時代に突入しつつあるように見えます。

これこそ、‘翻訳’の前提となる考え方です。

また、ここにこそ翻訳の意義があります。個々の自立した文化をお互いに尊重し、そのうえで翻訳による相互交流を行う、そんな翻訳的価値が見直されています。

では、ここで、改めて日本語、日本について考えてみたいと思います。

日本語を守る

西欧人がかつて、キリスト教文明圏、イスラム教文明圏、東洋文明圏と分けていたところを、あの20世紀の偉大な歴史家トインビーの再考を基に、『文明の衝突』の著者、国際政治学者のハンチントンが、7つの文明圏に分け直していることはご承知でしょう。

西欧キリスト教文明圏、ロシア正教文明圏、イスラム文明圏、ヒンズー文明圏、シナ文明圏、中南米ラテン・アメリカ文明圏、そして日本文明圏。日本は一国だけで独自の文化圏をなす存在であると主張しています。

そのトインビーがどうしても解けなかった謎が、日本が明治維新以来、約30年で一気に近代化できた理由でした。結局、様々な文献を紐解いても、あの天才をしても‘奇跡’としか言いようのなかった日本の近代化。英国をはじめ、当時の西欧列強ですら100年以上の時が必要とされた近代化。そのトインビーが解けなかった謎の答えの一つは、明治維新前の200年を越える江戸時代の‘参勤交代’にあったことに驚かされます。

では、その参勤交代がなぜ、日本の近代化に大きく貢献したか。それは、日本語という言語の統一であったと言います。

江戸時代以前は、京弁と地方の様々な方言が混在していたところが、参勤交代によって共通言語としての江戸弁が普及したといいます。

参勤交代では、地方の大名が妻子をいわば人質として江戸に住まわされていたことにより、大名は自領に帰ると自ずと江戸弁を話すようになり、江戸弁が全国に共有されたと言います。加えて、その子、そして孫と2代、3代と重ねていくにつれ子孫は自ずと江戸弁を使うようになったわけです。

こうして、明治維新を迎えるころには江戸弁が共通言語として使われるようになっていくわけです。

明治維新当時、例えばフランスの人口2,500万人の内、フランス語を話せたのがたった300万人、他にも様々な言語が使われていたと言います。また、英国に在っては公用語が6つもあったと言います。

明治維新以降の日本は、いわば、この言語統一という今にして思うと‘コミュニケーション戦略’によって奇跡を成し遂げたのです。こうして達成された先端の科学技術の共有、軍事技術の共有等がやがて日本を日露戦争の勝利に導き、殖産興業、富国強兵を果たし近代化を進めた要因であったといいます。

また、当時の日本人の識字率に至っては日本は9割を超えていたと言います。

一方、英国では20~30%、フランスは10%くらいであったと言います。
翻って、グローバリズムがいまだに跋扈する、英語至上主義の日本の現状を省みてみましょう。

企業では英語公用語化が隆盛。大学ではスーパーグローバルOOと授業の英語化に必死、小学生は5年、いや3年生から英語授業を始めると言います。やがて、私立中学の受験に英語が入ってくることでしょう。

英語至上主義、日本でも喧しく企業内の英語公用語化の話題がマスコミを賑わせていますが、これこそ所謂グローバリスト、国際金融資本家の思う壺。日本が二流国に転落するのが目に見えています。

すなわち、英語を第二公用語として使う、インド、マレーシア、ケニアなどの旧イギリス植民地諸国、フィリピン、プエルトリコなどの米国占領下にあった諸国。かれらはある意味、英語を公用語として採用して、言語の統一を計らず、結果として二流国を甘んじて受け入れた国と言えるでしょう。

あの理想国家といわれるシンガポールでさえ、常に複数の言語を学ばなければならないことから始まり、エリート主義による経済格差の拡大、国民の連帯意識の欠如。そして、独自の文化、芸術が生まれない文化的貧困を皆さんはご存知でしたでしょうか。これこそ、英語化路線の一方のひずみと言えると思います。

日本は、翻訳を盾に、日本語が国語である位置を堅持して、決して日本語を現地語の位置に貶めませんでした。6,7世紀ころから中国文明を消化、吸収するに中国文化を和漢折衷で 受け入れ、真名、仮名、文化を作り上げできた融通無碍な翻訳日本文化。

明治維新以降も、日本語を堅持し、翻訳という方法を通じて、欧米の当時の先進文化を土着化することによって民度を上げて世界のトップに躍り出た日本。

日本は明治の近代化で翻訳を通して知的な観念を土着化し、だれでも世界の先端知識に触れられる環境を創ってきました。ひとつ間違えれば、国の独立さえ危ぶまれた明治の日本は当時の英語公用語化論を退け、翻訳を通じて日本語による近代化を成し遂げました。

その戦略の先進性に改めて驚くとともに、先人の先見の明、また、参勤交代という歴史の必然にただただ感謝するばかりです。

日本を守る

世界が、特にヨーロッパ各国がグローバル化、移民の大量移入、更には今回の新型コロナウイルスで疲弊しきっている状況は皆様も様々なニュースでご承知でしょう。今回のパンデミックの要因は間違いなく、人の自由すぎる移動でしょう。
ウォール街に代表される金融資本家に踊らされて、人、モノ、金の自由化に踊らされた結果、国体を破壊され今の悲惨な状況となったヨーロッパ各国。

中国共産党による、一帯一路による文化的、物理的に浸食、これがコロナ蔓延の引き金になったことは明らかです。

賢明なイギリスはついにEUの離脱(Brexit)を表明、イギリスを取り戻すという方向へ舵を切りました。思い起こすと、同様に移民人口比率が15%内外のフランスのサルコジ大統領もその在職期間中にフランスとは何か、フランスを取り戻す運動をしていたのは記憶に新しいところです。

「我が国は古来こういう国なので、こうありたい」、と堂々と自国を主張しにくくなっているのが昨今のヨーロッパ事情のようです。

人、モノ、金、情報の自由な移動、グローバリズムを盲目的に良しとしている人、中国共産党の文化的、物理的浸食を受け入れている人には、そもそもこの願い自体が意味のない事と言うのかもしれません。

例えば、今、ドイツはドイツ人がドイツはこういう国だ、と堂々と言えない国になりつつあると言います。年間何十万人もの移民が、特にイスラム系の移民が流入していて、かれらが自国のことを声高に主張すると、レイシスト呼ばわりされる国になりはて、おまけに、流入する移民たちは凶悪犯罪の温床にもなっていると言う惨状です。

英国の国勢調査によれば、ロンドンの住人のうち「白人の英国人」が占める割合はすでに半数を切っているといいます。ロンドンの33地区のうち23地区で白人は少数派に転落していると言います。

英国民に占めるキリスト教徒の割合も、過去10年間で72%から59%と大幅に減少し、2050年までには国民の三分の一まで減る見込みです。

他に、例えばスウェーデンでも今後30年以内に主要都市すべてでスウェーデン人(スウェーデン系スウェーデン人)は少数派に転落するという予測もあります。

このように、グローバリスト主導の外国人労働者の受け入れに端を発する移民国家化によって、ヨーロッパ諸国は、民族構成や宗教や文化のあり方が大きく変容しつつあります。

正面から十分に国民の意思を問うたわけでもなく、いつの間にか、「国のかたち」がなし崩し的に大きく変わってきてしまっています。

その結果、ヨーロッパ文明は死に、ヨーロッパ人はかけがえのない故郷を失っていくと言うのです。おまけに人命までも。

世界の大きな潮流はまさにIndependent に向かっていると言えるでしょう。Independent な人、社会、国が、Independent な人、社会、国とInter-Independentな関係をもって、融和していく。そこには一定レベルの争いもあるでしょうが、それを覚悟で調和をめざす必要があるのでしょう。

 日本を守る、日本語を守る、そして命を守る秘密兵器こそ‘翻訳’、翻訳というものの考え方であると確信している今日この頃です。